EC-CUBEで制作したBtoCのネットショップにマーケティングオートメーションを
みなさん、マーケティングオートメーションって知ってますか?
最近、よく話題になってきていますが、多くの方の認識では「大規模なBtoBで使うもの」という認識が強いのではないでしょうか?
実は全然そんなことなくて、単に有名なマーケティングオートメーションツールがクッソ高いからなだけなんですね。*1
このマーケティングオートメーションツールは、BtoCのECでも非常に強力なツールです。いや、むしろECサイトにこそ必要なツールです。
ユーザのショップ内外での動きをトラッキングし、セグメント化し、ポイントを付与して、購入意欲の高いユーザに様々な訴求ができます。
マーケティングオートメーションとは?
わかりやすく日本語で言うと、「見込み客作り(追客)の自動化」です。
マーケティングオートメーションの「マーケティング」は、広義の意味でのマーケティングとは少し違います。
インターネット上でのユーザの様々な行動を追跡し、行動に合わせた施策の実行、ユーザの評価の変更などがそれにあたります。
例を言うと、仮にクーポン配布を特典としてメルマガ登録を促すとします。
- メルマガ登録フォームはマーケティングオートメーションツールが生成してくれます。
- 登録された段階で、そのユーザにツール内でポイントを付与され、ツールが自動でクーポンメールを送信します。
- ユーザがメールを開封すると、それがツール内で検知され、そのユーザにさらにポイントが付与されます。
- そのメールに記載されているランディングページにユーザがランディングすると、さらにポイントが付与され、購買意欲の高いユーザにステージがアップします。
- メールは開封したけど、その後クーポンを利用していないユーザには、クーポンの有効期限が切れる前にフォローメールを自動で送ります。
こういった事を自動で行うツールがマーケティングオートメーションツールです。Wow
Mauticとは?
Mauticとは、GPLライセンス下で公開されているオープンソースのマーケティングオートメーションツールです。https://jp.mautic.org/
無料で誰もが利用でき、GPLのライセンスに則った形で改変が可能です。
高価なツールに比べれば機能は劣りますが、それでも基本的な機能は揃え、充分に高機能です。
おそらく、ほとんどの人が全ての機能を使いこなすのは難しいでしょう。
WordPressやconcrete5とも連携ができ、僕がファウンダーを務めるconcrete5 Japan, inc.のメンバーは日本コミュニティの主要メンバーです。
自前のサーバにインストールして運用する事もできますし、Mauticが提供するクラウドサービスは制限付きながら無料で利用できます。
Mauticで何ができるの?
Mauticには以下の基本機能があります。
- コンタクト(顧客リスト)管理
- 顧客属性などGUIで自由にカスタマイズできます。
- ランディングページ管理
- Mautic上で様々なランディングページを作り公開する事ができます。
- フォーム管理
- サイトに埋め込んだり、ランディングページで使うフォームをGUIで自由に作れます。
- アセット管理
- 資料請求等でダウンロードされる各種ドキュメントやファイルの管理ができます。
- キャンペーン管理
- マーケティングオートメーションの重要部分、各種シナリオを設定するキャンペーン管理機能です
- メール管理
- フォームへの登録のサンキューメールや、メルマガ、ステップメールなどメールの管理ができます。
- チャンネル管理
- ポイント管理
- ユーザに付与するポイントの管理
- ステージ管理
- ユーザのアクションに基づくステージの管理
- レポート
- キャンペーンの状況など各種レポーティングの設定
どうでしょう?お腹いっぱいですよね!w
基本機能でこれだけの事ができるので、まずは基本機能でできる事から始めるのをオススメします。
Mauticの詳細な使い方などは、ドキュメント(一部日本語アリ)もありますし、勉強会も開催されています。そういったところで学習もできますが、まずは使ってみることをオススメします。
ネットショップでMauticなどのマーケティングオートメーションツールを導入するとどうなるか?
では、BtoCのECサイトでMauticを導入すると何が変わるのでしょうか?
どんな良い事があるのでしょうか?
答えは、自動化することによって「手が空く」「今までできなかった事ができる様になる」が一番大きいと思います。
その結果、ネットショップの売り上げが向上する。という事につながります。
今まで手作業で行ってきたメールの配信や返信、フォローアップメールの送信が、リストの抽出などせずとも自動で送信される様になります。
クーポンやセールなどのイベントも準備と管理のコストが大幅に減って、今まででやりたくても手が足りなくて出来なかった事が色々とできる様になります。
その結果、機会ロスを減らしきめ細やかなカスタマーサポートが可能になり、顧客満足度の向上、売り上げの増大が望めます。
EC-CUBE3を使ったプロジェクトで既に導入しています
実は、とある単品通販のECサイトで既に導入して稼働させています。
マーケティングオートメーションの導入は、健康食品や化粧品・コスメなどの単品通販のECサイトだと簡単なんです。
設定するシナリオもある程度決まったものになりますし、商品に応じた分岐が少ないからです。
オープン前
このECサイトでは、ネットショップ構築中はブログやSNSでの告知活動をメインに始めました。
フォロワー数やfacebookページの「いいね」の数を増やし、ブログで関連記事を書いてSEO+コンテンツマーケティングをする。
ショップがオープンした際に、ショップのランキングや外部リンクの獲得、アクセス数を集めるために先行してこういった施策を行いました。
ショップURLでは、ランディングページを作成し、オープニングセールで利用できるクーポンを特典としてメルマガ会員を募り、プロダクトローンチの手法を応用してメールでのフォローアップ、オープンまで忘れられない様にしました。
オープン後
オープン後は「カートに商品を入れたら+5ポイント」「会員登録をしたら+5ポイント」の様にユーザの行動に合わせてポイントの付与を行い、購入処理の途中でカゴ落ちしてしまったユーザにはその後のフォローアップメッセージを表示。
ショップサイトのアクセス数を稼ぐためにtwitterのハッシュタグキャンペーンを実施したりと、Mauticの各種機能を使って様々な施策を打ちました。
結果、非常に良いスタートを切る事ができ、今後もレポートを分析しながらシナリオの改善したり、新しい施策を行っていくつもりです。
そして、非常に重要なのがこれらの実際の処理を「マーケティングオートメーションツールが自動でやってくれる」という点です。
僕らがやるのはシナリオに合わせたツールの設定だけ!
重要なのは戦略。ツールじゃない
ここで重要なのが、「ツールを使う事が目的にならない様にする」事です。
重要なのはシナリオです。
ちゃんとしたターゲットの策定とそれに合わせた合理的でセンスの良い施策。
これをしっかりと考える事ができるのがマーケティングオートメーションツールを使う事の最大のメリットです。
なので、「Mautic入れたら簡単に売り上げ上がったヤッホー!」とはならないので注意してください。
実行はツールがやってくれますが、どう実行するのかシナリオを考えるのは人間の仕事です。
優れたマーケッターは優れたMA使いになる
そういった事情から、優れたマーケティングセンスとスキルを持ってる人は、非常に効率の良いMA使いになれます。
Mauticと一人のマーケッターで、今ままででは考えられなかった様な成果を出す事ができると思うので、まだ使ってない方はぜひ試してみてください。
EC-CUBE3対応!デザインカスタマイズガイドブック
新しくなったEC-CUBE3に対応したデザインカスタマイズブック。2017年1月現在 EC-CUBE3のデザインカスタマイズについて解説されている書籍はこれだけです。とりあえず買いましょう!
*1:そりゃそんなバカッ高いもの大企業しか導入できんわ