「卵が先か、鶏が先か」サイト構築の見積もりと予算の関係
最近、EC-CUBEのカスタマイズに限らず、コーポレートサイトから販売管理等の業務システム、SNSまで数多くの案件のお話を頂きます。
いや、本当にありがたい事です。可能な限り早急に対応する様、努めています。
お問い合わせ頂く際に必ず聞かれるのが
「いくら位かかりますか?」
という質問です。
そして僕も必ず
「ご予算はお幾らくらいですか?」
と伺ってます。
まさに「卵が先か、鶏が先か」の状態です。*1
よく、お客様で「予算はまだ決まっていない」と仰る方がいらっしゃいますが、実はそんな事ないんですよね。
だいたい「100万以内には抑えたいな〜」位の予算感は皆さんお持ちです。
では予算は実は決まっているのに、何故予算が決まってないと仰るのでしょうか。
主な原因は2つあります。
予算を言うとその金額に近い見積もりを出されると思っているケース
このケースはきっと、適正な見積もりを出さない会社が多かったという事ですね。
「予算は100万円」と言うと、100万の見積もりが出てきて、実はそんなにはかからない物だった、の様な経験があるのではないでしょうか?
つまり、「ボラれない」ために言わないケースです。
大体の相場は掴んでいるが、いくらで提示するかを見ているケース。
このケースはその会社の規模や、信用度を図っているのだと思います。
大手の企業ほど、社員が多い(=マネジメントコストが高い)など経費が高いので、見積もり金額も高くなりがちです。
また大手の場合、自社のリスクを回避する為にいろんな保険をかけています。ある程度予備の人員を確保していたり、何か問題が発生しても保障出来るだけの資金を準備しています。場合によっては「完成保証」なんて物もあります。
いわば「安心料」ですね。
複数の会社に見積もり依頼を出し、ある程度の相場感を掴んでいる場合は、その会社がどういう見積もりを出してくるかで信用度を図っているケースもあります。
企業規模等を考慮しても、あまりにも相場から離れた見積もりを出す会社は、たとえ見積もりが安くても、ちょっと信用しづらいですよね。
なぜ開発会社は予算を聞くのか?
この理由も2つあります。
ひとつは、悲しい事ですが「予算いっぱいまで取ってやろう」と考えている場合です。
どことは言えませんが、僕もそういう会社を知っています。
傾向としては、自社で実際の開発作業をほとんどしていないシステム営業会社さんに多い様です。
もうひとつは、どの程度のサービスを提供すれば良いかを図っている場合です。
例えば、「ショッピングモールを作りたい」という要件の場合、やり方は複数あります。
高機能で、運用効率も良く、可用性の高い細部まで手の入ったシステムは、当然費用も高くなります。
ものづくりを仕事としている身からすれば、こういう自分の技術を100%発揮出来る案件は幸せな案件です。
でも、実は顧客はそこまでの物は求めていないケースも多々あります。
見積もり金額は、このサービスレベルと「こういった事が出来るシステム」という様な機能レベルの二つの要件で決まります。
もし、顧客の第一要件が「可能な限り安く」と言う事であれば、真っ当な技術者なら嫌がる様な「裏ワザ」的なやり方もあります。
この場合、ビジネスマンとしてのやりがいが出てきますね。
真っ当な会社であれば、顧客のニーズを汲み取った予算いっぱいの提案をしてくれるハズです。
あまりに予算が多すぎる場合は、
「要件の分の見積もりは〇〇円です、でも、こういった追加機能の提案もあり、〇〇円です」
といった様な顧客のビジネスにプラスになる提案をするのではないでしょうか?
「予算」は重要な顧客のニーズのひとつと捉え、ニーズに合った提案をする会社は良い会社だと言えると思います。(普通だと思うんですが、予算をニーズではなく、「売上の上限」とだけ考えている人も少なくありません)
予算が聞けない場合、この辺のニーズをヒアリングしたり、経験からの感で補ったりするので、ちょっと見積の精度は落ちてしまいます、また、見積もりを出すまでの期間も長くなりがちです。
適正な見積もり金額を取るには
適正な見積もりを出すのにもスキルが必要ですが、適正な見積もりを取るのにもスキルがいります。
これは僕も外部に作業を依頼する時に必ずやっている事ですが、
「予算を取るための見積もり」以外で、概算でも予算が決まっているなら、予算を伝える事を強くオススメします。。
また、
- どういう目的のサイトなのか
- どういう機能が必須と考えているのか
- 出来れば欲しい機能
- 依頼したい作業範囲
- 希望納期
を出来るだけ具体的に伝えた方が良いです。
そして、面倒でも複数の会社に見積もり依頼を出しましょう。
もし、要件が固まりきっていない状況であればフェーズ分けする事を強くオススメします。
要件が固まりきっていない状況で見積もりを取っても、不明確な部分のバッファが乗った高めの見積もりしか出てきません。
要件定義、基本設計、開発、運用保守くらいでそれぞれ見積もりを取った方が良いでしょう。
*1:余談ですが、「卵が先か、鶏が先か」の議論に決着がついた?様です。http://slashdot.jp/article.pl?sid=06/05/28/0856249