ECサイトの売上を上げるために必要な事
ご無沙汰しております。株式会社クロスキューブの佐々木です。
目の前の業務に追われている間にあっという間に前回の記事から3ヶ月が過ぎてしまいました...orz
頑張ります。
さて、今日はネットショップを運営されているオーナー様が一番知りたい事。
「どうしたらECサイトの売上が上がるか?」です。
ECサイトの売上を上げるノウハウはたくさんありますが、今回はその中でも最も大切で最も難しい基本中の基本をご紹介します。
家族経営でずっと売上を上げ続けているネットショップのお話
私たちはECサイトを作る事が専門で、ネットショップの運営が専門ではありません。
しかし、クライアントにとって価値があるECサイトとは売上が上がるECサイトであり、わたし達も常にその情報を収集し、何が今求められているのかを勉強しています。
そういった中で、実際にネットショップを運営されているオーナー様からの生きた情報はとても有用で重要です。
私たちのクライアントにある家族経営のショップさんがあります。
取り扱う商品は特異性のある物ではなく、ごくごく一般的な趣味に使う商品です。
商品単価も様々で、数百円の物から数十万円の物まであり、総商品点数は10万点を越えます。
その会社の組織構成は、
- 社長
- お爺ちゃん(引退しているので実務には不参加)
- 専務
- お父さん
- 経理その他庶務
- お母さん
- 実店舗店長
- 息子
初めてお話しを頂いた時は僕が独立してすぐの頃(今から6年程前)で、本当にお世話になったクライアントです。
当初から僕はお客さんに恵まれていましたが、このクライアントは特にお世話になっています。
最初にお話しを聞いた際の売上は月商1千万円程でした。
これも驚いたのですが、ネットショップは月商500万円がひとつの区切りとされています。
クレジットカード等の決済代行会社さんも儲けが出るのは月商500万円以上のショップさんと言ってましたし、僕の実感でもそんな感じです。
家族経営でこの月商1千万円はすごい事です。
EC-CUBE3対応!デザインカスタマイズガイドブック
新しくなったEC-CUBE3に対応したデザインカスタマイズブック。2017年1月現在 EC-CUBE3のデザインカスタマイズについて解説されている書籍はこれだけです。とりあえず買いましょう!
しかも、当時のネットショップは、お父さんの専務がどこからか調べて買ってきた外国製のホームページビルダーの様なソフトでひとりで作成して運用していました。
データベースも管理画面もありません。注文はメールでそのソフトのメーカーのサーバから届く様になっていました。
正直、サイトのデザインも褒められた物ではなく、テンプレートをちょっといじった今は懐かしいフレームを多用した物でした。
独学でそのソフトの使い方やWebの事を勉強し、そこまでサイトを育て上げるのは並大抵の努力ではなかったと思います。
でも、そのサイトで月商1千万円を売り上げていました。
つまり、月商1千万円売り上げるのにサイトのシステムとかソフトとかは関係ないという事です。
なので、当時の要件は
とにかく管理の手間が凄いので、もっと手間を減らしたい。
でした。
これ、僕一番得意です。
予算やその他もろもろを伺い検討した結果、デザイン等の見た目にはお金を使わずに、POSと連携して業務の運用コストを減らしましょうという事になりました。
なのでEC-CUBEのオーナーズストアからデザインテンプレートを買ってきて少し変えて作りました。
その代わり、POSとの連携に関しては可能な限り人間の手間を減らしてほぼリアルタイムに近い形で自動連携させました。
予算のほとんどはここに使いました。
また、ただのHTMLのサイトからデータベースと連携したPHPの動的なWebサイトに変わるので、サイトのレスポンス等のパフォーマンスにも注意し、最初から専用サーバを使ってミドルウェアのチューニングも行いました。
お客さんには、旧サイトのコンテンツ内容の悪い点を伝え、商品説明、商品登録をとにかく頑張ってサイト上の商品数を増やしてください。とお願いしました。
その結果、東日本大震災があろうとリーマンショックがあろうと、着実に売上を伸ばし続け最近では月商2,500万円を超える程に成長しています。
でも、運用体制は変わっていません。
さて、この事例からネットショップの売上を上げるためには何が必要だと読み取れるでしょうか?
かっこいいデザインのサイトでも人手でもありません。
ECサイトの売上を上げる為に必要なのは熱意
これです。一番重要なのはこれです。
「これからはネットだ!」という認識の元に、自分で調べて勉強してサイトを作って運営する。
この熱意です。
作るだけじゃないんです。その熱意を持ってサイトを運営し続けています。
だから売上が上がっているんです。
自分たちにできる事をできる範囲で可能な限りやる。
これができれば専門的な知識やスキルが無くてもネットショップは成功します。
商売の基本を忠実に守る
- 初心を忘れない
- 基本を忠実に守る
どんな仕事でもこれが一番大切です。
僕は定期的にこのお客さんの事を思い出して自分の身を引き締めています。
当たり前の事をきちんとやり続ける。僕にはとても難しい事です。
安く仕入れる
どんな商売でも基本中の基本です。
このショップさんではメーカーや問屋との関係性も合わせて上手くお付き合いをされています。
きっと、メーカーの担当が困った時など多少高めに仕入れたりもしていると思います。
そういう、持ちつ持たれつ、三方良しの精神で商売をされているお客様です。
可能な限り高く売る
これは高い値付けをするということではありません。
実際、このショップさんは他のショップに比べてかなり安い値付けをしており、激安の部類に入ります。
「儲かってますねー」と僕が言っても、「いや、薄利多売だからそんなに儲かってないんだよ...」と仰ってました。
ただ、そういった中で、販売数と利益率、競合の値付けとにらめっこして日に何度も販売価格を変更するなど、かなり価格設定には気をつかってます。
4PのひとつでもあるPrice(価格)を非常に重視されているという事です。
ちゃんと納品する
これも当たり前の事です。
注文が来たらちゃんと約束した通りに納品する。
CSの最初の一歩、基本中の基本です。
ただ、意外にこれがちゃんとできていないショップが多いんです。
宣伝をする
ネットだけではありません。
と言うか、このショップではネット広告をほぼ出していません。
それよりも専門雑誌への広告やイベントへの賞品の提供など、ターゲットをよく分析し、コストパフォーマンスの高い宣伝を行っています。
ネットショップだからネット広告という安直な考えではなく、ちゃんと広告宣伝を考えて実行しています。
ITの世界にいるとネット広告が一番費用対効果が高いと思いがちですが、リアルの広告はかなり効きます。
これだけネット社会になっても尚、昔からある媒体が存在し続ける理由がここにあります。
特に、宣伝効果だけを考えればテレビ最強です。
あと、新聞の折り込み広告も費用対効果が意外と高いので僕は好きです。
特に日経。
まとめ
こうやって見ると、このショップでは見事にマーケティングの基本の4P(Product.Price.Place.Promotion)が守られています。
そう、ECサイトが売上を上げるために必要な事、それは基本を守る事です。
これはどんなショップにも当てはまります。
そしてとても難しい事です。
この基本を実行した後に、モバイルファーストやらUI、システムがどうとかというITの世界の話になってきます。
じゃないと、一所懸命に良いECサイトを作っても売上が上がらないんです。
作る方としても残念でなりません。
このシステムを入れたら確実に売上が増えるとかそんなのありません。
この記事を読まれたショップオーナーの方には、ぜひこの商売の基本と初心を忘れない様にして頂きたいと思います。
そして利益を上げ、予算潤沢なお仕事をご依頼頂ける事を切に願いますw